米大統領に再登板したトランプ氏が、国際社会を変えようとしている。ベネズエラの大統領夫妻を拉致し、米軍は年明けに大規模攻撃を行い。国連憲章に反する主権侵害だ。
米国は国連や多国間協調に背を向ける。「東半球」の秩序維持に対する関与を弱めると、日本が台湾有事などの抑止力を失うことになる。
権威主義化する米国は、世界の紛争に関与し、力による解決を強いる。人類が2度目の世界大戦を経て、ようやく築いた「法の支配」を基づく国際秩序が深刻な危機にある。
ベネズエラへの攻撃は、トランプ氏が持つ異様な世界観の表れでもある。「西半球」を自国の勢力圏とみなし、豊富な石油権益をうかがう。国家安保戦略は中国やロシアに批判が抑えられている。
中国とは過去の米政権が神経をとげる中国の軍備増強や人権弾圧に関心を示さず、取引による通商関係の強化を優先している。トランプ氏は4月に訪中を予定している。日本は緊張緩和に歓迎すべき状況だが、米国が「東半球」の秩序維持に対する関与を弱めれば、日本が台湾有事などの抑止力を失うことになる。
ロシアのウクライナ侵攻の和平交渉では、トランプ政権はウクライナに領土割譲的な一方的な譲歩を迫っている。ベネズエラへの蛮行は、中ロの台湾やウクライナへの領土的な野心に口実を与えかねない。
近年は中ロ、北朝鮮などの権威主義国が、法の支配を訴える米欧と対立する構図が形成されてきた。自国の利益を第一に考えるトランプ氏が中ロとの距離を打算的に縮めつつある。米中ロの接近は、第2次大戦終結直前に米英ソが世界の枠組みを決めたヤルタ体制になぞらえる指摘もある。
法の支配から力の支配へ―。大国の価値の転換が危うい。
国連はパレスチナ自治区ガザの戦闘や国際刑事裁判所(ICC)の和平交渉を取り組んでいるが、機能不全が深刻な安保理の改革や総会の役割拡大が急務だ。粘り強く取り組み、大国の独善に歯止めをかけねばならない。
日本は協調の先導をとる。高市早苗首相は米国の要求に沿う形で防衛力増強を加速させる。ベネズエラへの攻撃も黙認しているが、自国第一を掲げる米国がいつまでも日本の後ろ盾となる保証はない。
秩序の激変は外交方針を転換する好機でもある。国連事務次長を務めた赤阪清隆氏は「紛争当事国にならない平和国家の日本がいかに世界から期待されているかを示し、国連の枠組みの中でアジアの域内協力機構をつくるなど新しい挑戦をしてもいい」と提言した。
力頼みではなく、摩擦を避け戦争を未然に防ぐ外交に徹するといった発想が必要だ。欧州や新興・途上国のグローバルサウスとも連携し、多国間協調の再構築を急ぐ必要がある。
米国は国連や多国間協調に背を向ける。「東半球」の秩序維持に対する関与を弱めると、日本が台湾有事などの抑止力を失うことになる。
権威主義化する米国は、世界の紛争に関与し、力による解決を強いる。人類が2度目の世界大戦を経て、ようやく築いた「法の支配」を基づく国際秩序が深刻な危機にある。
ベネズエラへの攻撃は、トランプ氏が持つ異様な世界観の表れでもある。「西半球」を自国の勢力圏とみなし、豊富な石油権益をうかがう。国家安保戦略は中国やロシアに批判が抑えられている。
中国とは過去の米政権が神経をとげる中国の軍備増強や人権弾圧に関心を示さず、取引による通商関係の強化を優先している。トランプ氏は4月に訪中を予定している。日本は緊張緩和に歓迎すべき状況だが、米国が「東半球」の秩序維持に対する関与を弱めれば、日本が台湾有事などの抑止力を失うことになる。
ロシアのウクライナ侵攻の和平交渉では、トランプ政権はウクライナに領土割譲的な一方的な譲歩を迫っている。ベネズエラへの蛮行は、中ロの台湾やウクライナへの領土的な野心に口実を与えかねない。
近年は中ロ、北朝鮮などの権威主義国が、法の支配を訴える米欧と対立する構図が形成されてきた。自国の利益を第一に考えるトランプ氏が中ロとの距離を打算的に縮めつつある。米中ロの接近は、第2次大戦終結直前に米英ソが世界の枠組みを決めたヤルタ体制になぞらえる指摘もある。
法の支配から力の支配へ―。大国の価値の転換が危うい。
国連はパレスチナ自治区ガザの戦闘や国際刑事裁判所(ICC)の和平交渉を取り組んでいるが、機能不全が深刻な安保理の改革や総会の役割拡大が急務だ。粘り強く取り組み、大国の独善に歯止めをかけねばならない。
日本は協調の先導をとる。高市早苗首相は米国の要求に沿う形で防衛力増強を加速させる。ベネズエラへの攻撃も黙認しているが、自国第一を掲げる米国がいつまでも日本の後ろ盾となる保証はない。
秩序の激変は外交方針を転換する好機でもある。国連事務次長を務めた赤阪清隆氏は「紛争当事国にならない平和国家の日本がいかに世界から期待されているかを示し、国連の枠組みの中でアジアの域内協力機構をつくるなど新しい挑戦をしてもいい」と提言した。
力頼みではなく、摩擦を避け戦争を未然に防ぐ外交に徹するといった発想が必要だ。欧州や新興・途上国のグローバルサウスとも連携し、多国間協調の再構築を急ぐ必要がある。